戸隠

忙しいときほど、座禅に行って心を落ち着かせる必要がある。大学生の頃、よく円覚寺にいっていたことが懐かしく、久しぶりに行きたい気分。


長野へ行く予定に合わせ、「じゃぁ、戸隠にもおいでよ」と、呼ばれるようにして初めての戸隠神社に行った。そんなこと、している場合かもよくわからないのだけど、知らないところへ行きたかった。10年以上行きたいと思いながら行けなかった場所。

私がお世話になっている整体「からだはうす」の高橋実さんは、30年くらい前、大野一雄さんのアトリエに稽古へ行っていたという。7年前に初めて戸隠に来ると、「ここで踊りなさい」という啓示を受け、戸隠神社の中でも最も古い社であり、芸能の神が祀られているという火之御子(ひのみこ)社で毎年踊ることを続けている。治療中に、早池峰神楽に行ったことを話していたから、神楽繋がりで戸隠にも来たら勉強になると誘ってくださった。

大きな期待をしていたばかりに、人が本当に多く、森が泣いていた斎場御嶽を思い出すほどざわついた場所に肩を落とした。パワースポットブームとは言うが、どこの駐車場も満車。場所に隙間がない。奥社の九頭竜神社にも行列。なんのこっちゃ。この数日の夜は、毎日ゲリラ豪雨が降るのだと言う。お目当てにしていたおそば屋さんは、2時間待ちであきらめた。奥社、中社に比べ、火之御子社と宝光社は静かで少し落ち着いた。それでも、どこかそわそわしているのは、私の今の心の問題もある。ため息しか出ない。



高橋さんの舞台は、太々宵神楽奉納の最終日、18日夜。昼過ぎから雲行きは怪しく、夜まで続いた。雨であることを残念にも思えたが、私には、空気が浄化されて気持ちよかった。大学生の時に舞踏が好きで頻繁に見に行っていたけれど、6年はご無沙汰していた。なんとも懐かしい気持ちになった。場所の力はもとより、集まった人の力に助けられた時間だった。