『流光の音をたどれ』

川口アートファクトリーで、モケレンベンベ・プロジェクトの舞台が上演されています。今回のテーマは「アイヌ」。まだ見ていない人のためにストーリーは書けませんが、「アイヌ」って聞いたことがあるけど実際わからない、と思っている人には是非見てもらいたい舞台です。個人的にこの場所は、3年前に岡部昌生さんの手伝いで通っていた場所で、オルタナティブスペースとして続いている健全な会場の姿に安心しました。

私が3年前に北海道石狩の中川潤さんにお会いして感動したことがあり、でも、そのことを周りの人にどうやって伝えよう、、、と悩んでいたことが表現されていました。私もこうやって、自分が得たこと、感じたことを隣の人に伝えることができたらいいな、と思っているのですが、まだ少し時間がかかりそうです。

2時間の中には、(書きたいけれど我慢!)盛りだくさんです。弓野正勝さんのトンコリ、弓野恵子さんのウポポ、出演者の歌とムックリも、とても心溢れるものでした。是非是非、ご覧ください。


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『流光の音をたどれ』(http://www.rr.iij4u.or.jp/~mokele/
6月20日(土)・21日(日)27日(土)・28日(日)

[企画・脚本・演出・美術] 藤沢弥生+及川均
[出演] 新平+るる+田村義明+大沢ミチ+藤井良行+藤沢弥生+及川均
[特別出演] 弓野恵子+弓野正勝
[協力] 宇井眞紀子・『TOKYO アイヌ』映像製作委員会・KAWAGUCHI ART FACTORY

■予約先 モケレンベンベ・プロジェクト(及川)
TEL & FAX 03-3807-1920 E-mail mokele@rr.iij4u.or.jp

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「其の昔此の広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。天真爛漫な稚児のように、美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活してゐた彼等は、真に自然の寵児、何と云ふ幸福な人だちであったでせう。」(「アイヌ神謡集」序・知里幸恵

今から87年前、19歳で夭折した知里幸恵さんは、自らのアイヌ民族についてこのように書いています。この豊かな大地が開拓という名の侵略で「日本」に組み込まれてしまったのは、ほんの130年前のことです。1昨年「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が国連総会で可決されたことで、昨年日本政府もやっと「アイヌ先住民族である」ということを認めようという動きが始まりました。
しかしいまだに、アイヌ民族に対して何の謝罪もなされていないままです。これが私たちの国、いや私たちのアイヌ民族に対する認識です。私たちはなぜアイヌのことを、傍にいながらまったく知らずに暮らしているのだろう?・・数年前、生き生きとしたアイヌの人々の姿を映した写真展をふと目にしたことがきっかけで、改めてこの疑問を持ちました。それからアイヌの歴史や文化に興味を持った表現者が集まり、昨年からプロジェクトを開始し、一年間じっくり試演や話し合いを重ねました。脈々と受け継がれてきた独自のアイヌ文化、そして私たちの淀んだ過去から現在を見つめ、共に生き、流光の輝く音が響き渡る未来を願いながら、つたない想いを表現します。

ジャズタップやトルコ弦楽器・サズの音色と共に、オリジナルな劇世界をお楽しみ下さい。また特別出演、弓野夫妻のウポポとトンコリの音も、どうぞ耳を澄ましてお聴き下さい。

今回の公演は、川口の鋳物工場の敷地内のアートスペースをお借りして行います。埼玉県川口市ですが、都内から川を渡ってすぐの場所です。地下鉄の川口元郷駅から歩いて5分。55階建てのエルザタワーを背後に、真逆の迫力のトタン屋根が皆様をドーンとお出迎えします。その不思議な風景も堪能しながら是非お出かけ下さい。