山尾三省 生誕70年祭

そういえば、今日から大学が始まる!都民の日だけど、ガイダンスがある。


2002年(当時22歳)に大重潤一郎映画上映会を企画した経験、昨年10月の北海道、12月の北海道、2月に銀座で行われたグラヌール展、3月の沖縄、7月の北海道、9月の沖縄、それらが全てリンクして、不思議な経験をした。


小樽在住の長屋のり子さんと出会ったのは、北海道で冊子「グラヌール」(フランス語で落ち穂拾いの意味)を刊行している石塚純一さんと千恵子さんが銀座で催した展覧会のイベントとその後のパーティーだった。今福さんが司会を務め、集まった方々が踊ったり、歌ったり、詩の朗読を行ったりして時間を過ごした。その中に長屋さんの姿もあった。長屋さんは、屋久島に住むお兄さん(山尾三省さん1938-2001)と過ごした最後の時間を詠った詩を朗読した。山尾三省さんの著書は、学生時代何冊か読んでいたが、この数年はすっかり本棚から取り出すことがなく過ごしていた。こんな風に山尾三省さんのお名前と再会するとは思ってもいなかったし、生前の山尾さんにお会いしたことはないのだから、斜め前にいる長屋さんがとても不思議な存在だった。
7月の先住民族サミットの会場で長屋さんに再会をする。小樽へ弓野恵子さんのカムイユカラを聞きに向かってまた再会。そこで、3月沖縄で出会った大重監督の助手、須藤義人さんに長屋さんを紹介すると、大重監督作品《ビックマウンテンへの道》のナレーションが山尾三省さんだと須藤さんから聞かされる。学生時代は全く気付いていなかった。
東京に戻って数日後、長屋さんから一冊の詩集「睡蓮」が届く。山尾さんの言葉が浮かんでは消え、重なる。久しぶりに本棚から山尾さんの本を取り出し交互に読んだ。大重監督へこの話を電話でし、長屋さんへ《ビックマウンテンへの道》を届けたい、と伝える。
9月、沖縄久高島で大重監督へ「睡蓮」を届ける。昼食後、身体を休めながら一心に読んでいる姿。読みながら、「縄文」の撮影で山尾三省さんとお話されたこと、ナレーション録りで屋久島を訪れたことなどを思い出し、語ってくれた。「事務所に《追悼 山尾三省》というビデオテープがあるから、那覇に戻ったらテープを探して欲しい」と言う。事務所に戻って早速探す。きれいに整理されているテープ類から見つけ出すことは難しくなく、コピーをして長屋さんへ贈りたい、という監督の意思のもと、コピーをしながら全員で鑑賞をした。一度目は目をつむり声だけを聞いた。二度目は目を開き、屋久島の風景と山尾さんの眼差しを受けた。7分の映像。大重さんの確かな仕事がここにあった。
すぐに北海道の長屋さんの元へ届ける。2001年3月9日に録音されていたこの一連の出来事が寝耳に水のようであった。長屋さんの文面から、思いがけないお兄さんとの再会の喜びの声が届いた。


山尾三省生誕70年祭の前に舞い降りた一連の出来事。あの時、大重さんに出会ってなかったら、長屋さんに、須藤さんに出会っていなかったら。その前にも長い経緯もある。大重さんと宮内さん、そして山尾さん。出会うべきものは出会い、必要なものを、必要な人のもとへ届けてくれた。神様のいたずらと直感の織物。また新たなる気持ちが10月11日、山尾三省さんの元へ届けられるだろう。

是非、お立ち会い下さい。


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■□山尾三省生誕70年祭 アニミズムという希望□■



第1部 リレートーク長本光男(長本兄弟商会・八百屋)/加藤行衞(日本山妙法寺・僧侶)/渡辺眸(写真家)/槇田きこり(冨士山北口御師)/兵頭昌明(山尾三省記念会代表・屋久島)

第2部 シンポジウム今福龍太(文化人類学者)/鎌田東二宗教学者)/田口ランディ(作家)/長屋のり子(詩人)

第3部 三省の詩を歌う李政美/長沢哲夫/内田ボブ/松井智恵/山本純/じゅごん/眞理ヨシコ(堀之内幸二/龍聡/賀川純)

主催:山尾三省生誕70年祭実行委員会
後援:山尾三省記念会
問い合わせ先:野草社  tel.03-3815-1701
       新宿書房 tel.03-3262-3392
       地湧社  tel.03-3258-1251

日時 10月11日(土)14:00〜20:00 
開場 東京・お茶の水全電通ホール
入場料 前売り2500円/当日3000円