カメラになった男

aitakaha2006-06-13

母親からくちなしの鉢植えをもらった。いつか庭に植えたいと思っていてなかなか値段と大きさが見合うものがなく買えずにいた。母からもらったクチナシは背丈が30センチくらいありつぼみが沢山みつけられた。6月は紫陽花のイメージが強いが私にとってはくちなしの季節というイメージが強い。茶花にはとげのある花や香りの強い花は使うことができず、くちなしのはなも茶花から除外されている。道を歩いていると30m先まで香りが漂い、ふっと誘われるときがあるほど香りの強い花である。
学校用に`ニューギニア インパチェンス`を買って帰った。こちらもつぼみが沢山付いていてこれからが楽しみ。


今日は学校を早退して、小原真史さんの映画を見に行く。「カメラになった男ー写真家 中平卓馬」という写真家・中平卓馬さんを追ったドキュメンタリーである。4年前同じ大学で先輩としていた小原さんからは途中大変な話しを聞かせて頂いていた。出来上がってから三余年経って初めて目にしたこの映画はとても感慨深く胸が詰まった。美術館で眺めていた中平さんの写真の見え方が変わった。
映画の舞台は中平さんの住んでいる横浜・昔住んでいたという葉山・旅先の沖縄の三カ所から成る。1977年に記憶喪失になったこと、事故で友人を亡くしたこと、沖縄へ行くことに成った経緯が丁寧に説明される。沖縄での写真展とシンポジウムは四年前学生だった私は沖縄に足を運び鑑賞していたはずが、そのときわからなかったことだらけだったことに気付かされる。「写真と記憶 写真と創造」というタイトルにこだわり、写真が政治的な沖縄問題をどう関与できるかを真剣に考えていた。映画の中では、中平さんの真剣な言葉に鑑賞者は笑いで応えていた(当時私も笑っていただろう)が、今日映画を見ている私はこれっぽっちも笑えなかった。
最近の中平さんの写真は35ミリ縦構図の写真ばかり目にする。いままで、縦構図と端から決めて撮影しているのだと思っていた。しかし映画を観てそうではないのかもしれないと感じた。なぜなら、初めはカメラを横にしてファインダーを覗き込んで気に入らないから縦に直している行為が映っていたからである。中平さんは目頭が強く、顔はやや下向きにそして目だけを上げる姿勢を取る。自分も同じ姿勢を取ってみると、視界は縦長になることに気が付いた。普通に前を向いて目に力を入れない状態であれば視界は横に広がる。中平さんの縦構図の写真は、中平さんの何かを捉える目そのものなのだろうと思った。タイトルの「カメラになった男」は的を得ている気がする。

帰り道、色んなことを考えていた。私は、頭が弱いせいか映画を一度で理解することは難しい。流れる映像は瞬きなどをして観落とす場面も多いのだ。
写真を撮るということを問い直すこと。行き詰まったときにもう一度観たい映画である。


シネアートンURL
http://www.cinekita.co.jp/schedule.html
映画は一日一回(16:10〜) 16日まで上映。