天での再会

人は亡くなった後、どこへ行くのか。それは誰も答えることが出来ない。でも、亡くなった人の仕事は、いつまでも私たちの前からなくなることはない。

姫田忠義さんが亡くなったという報せを、亡き友人のパートナーから受け取った。友人のお葬式でご挨拶をしたのが最後になってしまった。アメリカへ持ってきていた、岩波ブックレット「忘れられた日本の文化ー撮りつづけて三〇年」(1991年刊行)を改めて読み返した。宮本常一氏の言葉を引き継ぎ、数名のスタッフと録り続けて記録は、知識ではなく、経験から語られる言葉であり、とても生々しく、心に響いてきた。119本にもなる記録映像は、本当にこれから生きる宝物だと改めて思う。

民俗学者宮本常一氏が亡くなった日に、アチックフォーラム(民映研の映像を見る会)第一回を行い、それから30年以上アチックフォーラムを続けていた。私が参加していたのは、両手の指で数えられる程度だけど、毎回2本鑑賞し、全員が感想を述べ、それに対して、姫田さんは真剣に耳を傾け、応えてくれていた。民映研で働いていた友人を羨ましく想い、話すようになっていた。そんなにすごい昔ではない。「ちひろくん」と呼んでいた姫田さんの声は、まだ、私の耳に残っている。

姫田さんより早くに亡くなった彼女は、今、あの世で姫田さんを笑顔で迎えているのだろうか。事務所で対話していた二人の姿を、そのまま雲の上に描いている。彼女だけでなく、姫田さんが出会った山間地のおじいさん、おばあさん、アイヌの萱野さんとも久しぶりに再会しているのだろうなぁ。


合掌


民映研ホームページ
http://www31.ocn.ne.jp/~minneiken/


以下は、民映研メールマガジンより転送します。
馬喰町スペース吉水での、プレ上映会の続報です。民映研作品の中でも、アイヌ・三面は姫田忠義始め携わった多くの方々の思いと尽力がつまった作品。期せずして追悼上映会とし開催いたします。沢山の方にお出で頂けましたらと存じます。

■■■ 8月27日(火)〜31日(土) ■■■

8/27(火) 『越後奥三面 -山に生かされた日々』19:00〜21:25
8/28(水) 『越後奥三面 -ふるさとは消えたか』19:00〜21:34
8/29(木) 『シシリ ムカのほとりで−アイヌ文化伝承の記録−』19:00〜21:34
8/30(金) 『イヨマンテ -熊おくり』19:00〜20:43
8/31(土) 『越後奥三面 -山に生かされた日々』11:00〜13:25/『越後奥三面 -ふるさとは消えたか』14:30〜17:04

開場:上映時間の30分前
場所:民族文化映像研究所の所在ビル1階“馬喰町スペース吉水”
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-5-12 小沢ビル1F
※作品紹介、料金など詳細は改めてご連絡いたします。
お問合せ:民映研・中川 TEL 03-6661-7161(10時〜18時)minneiken@alpha.ocn.ne.jp