かたくり

霧訪山(長野県塩尻)へ。母親の実家が伊那だというのに、私は伊那谷のことも長野の山についてもなにも知らない。藤原さんからの前日のお誘いに、迷わず参加。コブシの花が星のように山をキラキラさせ、伊那谷に沿って又三郎が駆け巡る。初めて会う山草たちに頭が垂れる。ぱらぱら雨も、ゆがふ雨です。


丁度、2日前に長屋紀子さんから「今年もかたくりが沢山採れたので特急で送ります」と嬉しい電話があった。一度味を知ってしまうと忘れられない優しい味。この時期、「かたくり」を思い出すとそれだけで幸せ。でも、自生しているところは見たことがなかった。北海道のかたくりとは、種類・大きさは違うものの、山道中、立派なかたくりにも出会えた。ここでは採らずにひたすら鑑賞。


おきなぐさ。宮沢賢治がこのおきなぐさ(うずのしゅげ)について書いている本を、山頂で教えてもらった。青空文庫でも読めます。野口さんに会ったらありがとうを言わなくちゃ。


山頂から、伊那方面を眺める。360度見渡せるという予備知識通り、八ヶ岳や美ヶ原もくっきり。5時間くらいゆっくり過ごした。山尾さんの「小さ愛さ(くうさかなさ)」という言葉を味わった山。麓では桜が満開。新緑はまだもう少し先のようです。


久々、心がのんびりした一日。家に帰ると「かたくり」と再会。私もそういう贈りものができる人になりたい。