広島

タイトルを広島にすると、まるで広島に行っているようですが、東京にいます。


昨日は早稲田松竹に7時間いた。東京に入替制ではない映画館はほとんどなくなってしまっているので、早稲田松竹ギンレイホールは貴重な存在。アラン・レネ作品『ミュリエル』『夜と霧』『二十四時間の情事』の三本を鑑賞。港先生が今年の冬に、「二十四時間の情事」主演女優エマニュエル・リヴァさんの写真展を広島と東京で企画している。映画撮影中にリヴァさんが撮影した広島の子どもや風景の写真。被爆の跡を残しながら、戦後復興中の都市と人の風景。写真展を見る前にもう一度、きちんと映画を見たいと思っていた矢先だったので、映画館で見れることはとても嬉しかった。写真集はインスクリプトから11月末に発売予定とのこと。(上映会は金曜日まで)


その足で、トキアートスペースへ。岡部昌生氏の展覧会を見に行く。被爆樹を摺撮ったフロッタージュが並ぶ。昨年、ベネチアビエンナーレ会期中に訪れた盲目の写真家、ユージンバフチャルの言葉をきっかけに岡部さんは広島へ再び向かっていた。原爆で土壌が死に、植物が植生できないのではないか、と言われていた広島に、数えられる本数ではあるが、戦前から生きながらえている植物がいる。戦後60年以上経ち、当時二十歳だった青年たちは八十歳を越える。戦争を語れる人は年々少なくなるが、土地や植物は黙しながら私たちに何かを訴えている。我々はその言葉に耳を傾けなければならない。(展覧会は8月24日まで)


今日から、笹岡啓子さんの写真展がニコンサロン銀座で始まった。広島出身の彼女が帰省の度に撮りためていた写真。自分にとっての広島と観光地化されている平和記念館や原爆ドーム、広島出身者以外の人が訪れる観光者の意識を問いながら撮影をしている。(展覧会は9月2日まで)




私は広島について何をどのくらい知っているのだろうか。答えは皆無に近い。広島について考え、沖縄について考え、北海道について考える。日本国について。

世界は戦争のことを議題にもっと国民レベルで談義することができるのではないか。劇中のリヴァさんと岡田英次のように、過去の傷を怖がらずに聞かなくてはいけない。