「アイヌ文化・教育の未来観」

東京は秋雨。水たまりに金木犀の花が咲いている。



来週の月曜日からまた沖縄へ旅立ちます。久高+@で、その@のお知らせ。沖縄新報へ記事を書いたのでその原稿も掲載します。が、新報に載るのは今週末らしいので、フライングです。大丈夫かな……?。(機会をくれた須藤さん、ありがとう)



先住民族には親子代々伝えていく文化がある。口承で受け継がれる祈りの言葉、日常の所作を表現した唄や踊り、自然の中で生活を営むために必要な呪術的な意味を持つ文様刺繍や儀礼用具などがそれである。かつては、日常的であり、生活の中心となるものであった。しかし、先進国の資本主義経済や核開発は、彼らの聖域を壊し、強制移住や言語の禁止など彼らの営みを強制的に廃止へと導く惨い現実がある。

7月1日、北海道洞爺湖にて行われたG8サミットへ先住民族の提言を提出するため、日本の先住民族であるアイヌモシリ(北海道)、ウチナンチュウ(沖縄)をはじめ世界から12カ国22民族の先住民族が、北海道日高地方平取町、大きくうねる沙流川中流にある二風谷へ集合した。ここは、日高地方でも最初にアイヌが住み始めた場所と言われている。沙流川を中心に山が囲い、自然豊かな場所である。しかし、97年には、長年戦った反対運動の甲斐もなく二風谷ダムが建設され、川の水は乏しさを辿る。
会場に集まった先住民族マオリニュージーランド)、ハワイ(アメリカ)、サーミノルウェー)、アボリジニー(オーストラリア)などの代表者によるスピーチで各国の現状を共通認識として持ち、環境、権利回復、教育・言語についてチャランケ(討論)を行った。4日間という限られた時間の中で、他国の状況を把握しあい、お互いどうすれば国家の中で認められるか、また、差別のない社会を未来の子どもたちへ残すことができるか、集中して話し合う場となった。北海道内外からの関心も高く、延べ1500名程の人々が基調講演やワークショップ、討論会に参加。その成果をまとめ、4日夕方「先住民族からG8への提言」を発表、先住民族ミュージックフェスティバルをもって幕を閉じた。
今年6月6日に「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」が国会で採択される。しかし、その決議の中には過去繰り広げられた残酷な歴史に対しての謝罪はない。過去を見返し、思い改めない限り、同じ過ちは必ず起きる。国会の決議、その直後に行われた先住民族サミットを終え、心は同じ方向へ向き始めた。今、やっとスタート地点へ立っている。この機会を逃してはならない。

「イランカラプテ」アイヌ語での挨拶が意味することは「あなたの心にそっと触れさせていただきます」。樹木に手をあてるように、地面に頬ずりするように、感謝の気持ちをもって「こんにちは」と、挨拶をする。気候変動、世界的食料危機、石油価格高騰と我々の生活を揺るがす今日において、私たちは立ち止まり、耳を澄まし、自然の声を聞かなくてはならない。自然と共に生存していくための知恵は、先住民族の言葉のなかに必ずある。その言葉は、ここ、沖縄にもある。

日本異文化研究フォーラムは、10月25日26日、「先住民族サミット2008」実行委員会を務めた秋辺日出男氏、萱野志朗氏、木幡寛氏、木幡弘文氏を北海道から招き、「先住民族サミット2008」のねらいと成果、今後の見解について講演及び研究フォーラム(討論会)を行う。


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日本異文化研究会フォーラム2008
財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構 国内文化交流女性事業
アイヌ文化を沖縄の人々にしってもらう交流会2008」
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アイヌ文化・教育の未来観」
先住民族サミット・アイヌモシリ2008》からの提言


■イベント「過去から未来への鎮魂」■
〈南北の塔〉〈摩文仁の丘〉からの祈り
10月25日(土)13:00〜13:30(南北の塔でのイチャルパ)
         14:00〜(摩文仁の丘でのカムイノミ)
場所:糸満市真栄平「南北の塔」/摩文仁平和記念公園
祈者:萱野志朗、木幡寛、秋辺日出男、木幡サチ子

■フォーラム「アイヌ文化・教育の未来観」■
先住民族サミット・アイヌモシリ2008〉からの提言
10月26日(日)13:00〜16:00(映像上映+サミット報告会)
         16:10〜16:30(アイヌ古式舞踊の実演)
場所:沖縄大学3号館102号
話者:萱野志朗、木幡寛、秋辺日出男、木幡弘文
演者:木幡サチ子、木幡二三子
司会:中野栄夫(日本異文化研究所所長)

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主 催:日本異文化研究会+沖縄大学こども文化学科須藤ゼミ
共 催:NPO法人沖縄映像文化研究所
問合せ:沖縄県那覇市国場555番地 沖縄大学須藤研究所
    TEL 090-9386-5894
    MAIL sudo@okinawa-u.ac.jp